ロシアはソ連の延長線上で見るべきではない

ロシアはソ連の延長線上で見るべきではない


馬渕睦夫】秋の特別対談「激動する世界、私たちは?」[桜H29/10/21]

(その1)



開始後12分〜29分


【内容】


ロシアはソ連と全く違うが、保守系の評論家でもソ連観の延長でロシアを見る人が多い。冷戦時代の思考方法で中国とロシアを同一視することは間違っている。ソ連解体時のエリツィン時代にネオコン市場経済を導入し石油利権などを横取りした。プーチン大統領ネオコン勢力と戦って追放し、失った利権をロシアに取り戻した。ロシアは独自路線を行く自給自足の1つの世界だ。アメリカとも親しい同盟関係にはならない。中国とは共産主義の時代ですら衝突していた。ランドパワーの中国とロシアが結託して、シーパワーのアメリカと日本に対抗するようにはならない。ロシアは共産主義はやめて、議会制民主主義を採用し、大統領も選挙で選んでいる。ただ広大な国土を治めるには、欧米的民主主義では無理がある。混乱状態になるよりは、強権的な指導者が必要となる。プーチン大統領は信用できるし、日本を頼りにしており、日本から学ぼうとしている。安倍首相とプーチン大統領は仲が良い。ロシアを近代化しようとして、アメリカの資本に頼って失敗した。ロシア単独ではできない。頼りとする国は日本しかない。プーチン大統領は、普遍的な価値とスラブ的な価値を融合させてロシアの発展を図りたいと思っており、応えられる国は日本だけであり、明治維新で成功したので手本になる。日露関係を強化して、ロシアが安定した大国になることは、日本の利益にもなり、世界の利益でもある。ロシアが大国になろうとしているのは歴史上始めてである。ソ連時代は作られた大国だった。旧世代の思考は、ネオコンが主導するアメリカがソ連と対立しているからアメリカを選ぶという発想である。


ロシアは、いわゆる領土拡張主義ではなく、バッファ主義(国境沿いに緩衝国を配置)である。緩衝国を広めるために膨張したことはあるが、国境そのものを拡張する必要はない。北朝鮮が中国の傀儡になるとバッファでなくなる。黒海のクリミアは元々ロシア領であり、ロシアにとって安定したバッファであれば良かった。ウクライナ東部を獲るメリットはなかった。獲るとウクライナ西部がNATOになり、直接対峙することになる。安定した均衡をネオコンが壊し、プーチン大統領を挑発してウクライナ危機を起こした。ネオコンは、配下の主要メディアを用いてプーチンが侵略を企んでいると言う、真実とは逆の印象操作による偏向報道を流した。




【感想】

広範囲に見識の深い馬渕先生ですが、その中でも特にロシアに対する分析は卓越していると思います。



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