米、UAEがイランのドル調達網を遮断 6個人・3団体を追加制裁対象
【ワシントン=加納宏幸】
http://www.sankei.com/smp/world/news/180511/wor1805110012-s1.html
米財務省は10日、イラン革命防衛隊の精鋭組織「コッズ部隊」が中東地域などで武装組織を支援するための米ドルの調達や移転に携わったとして、アラブ首長国連邦(UAE)とともにイランの9個人・団体を制裁対象に指定したと発表した。イラン核合意の離脱表明後では初の制裁で、今後、「最強の制裁」(トランプ大統領)を目指して同盟国や友好国と圧力を強める考えだ。
新たな制裁はイランとUAEにある広域なドル調達網を破壊するためのもので、コッズ部隊の当局者ら6人と外貨取引などに携わる3社が対象だ。財務省は、イランがこのドル調達網を使って、これまでに数億ドル(数百億円)を換金したとみている。
ムニューシン財務長官は声明で「イランの政権や中央銀行はUAEの団体へのアクセスを悪用してドルを取得し、地域の代理組織を武装するなどのコッズ部隊による有害な活動に資金を提供してきた」と指摘し、革命防衛隊への資金の流れを遮断すると強調した。
これに関連し、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は10日付のワシントン・ポスト紙に寄稿し、イランが2015年の核合意を受けて責任ある行動を取るどころか、数十億ドルを中東地域での軍事活動に費やして、内戦が続くシリアやイエメンなどに「死と破壊」を広げているとして非難した。
ボルトン氏はその上で、同盟国や友好国との関係強化でイランの敵対行為に対抗するとし、特にイスラエルとの協力強化で「共通の敵」であるイランに対処すると強調した。ボルトン氏はまた、14日に予定するイスラエルの商都テルアビブにある米大使館のエルサレム移転もこうした戦略の一環に位置づけた。
【感想】
シリア空爆は化学兵器使用疑惑に対する軍事行動によるお仕置きと言うよりも、米国内向けで主に共和党主流派ネオコン勢力のガス抜きと言った意味合いが強かった。また、エルサレムの首都認定では、アラブ世界の反発を承知で、イスラエル支持姿勢を鮮明にして中東問題解決に乗り出した。そして、イラン核合意破棄では中途半端な核廃棄は許さぬと言う強烈なメッセージを北朝鮮に送った。今回のドル調達網遮断により、アメリカはイラン抑え込みに入った。そのため、イランが支援するシーア派武装組織が報復としてイスラエルを攻撃する可能性が高まった。この記事からも、中東問題に関して、トランプ政権内でボルトン大統領補佐官の発言力が強いことが分かる。私は、この問題では、ロシアがイランに接近しないように布石を打っておくことが重要だと考えている。
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