東アジア情勢を俯瞰的に見る

共産党ある限り「冷戦」終わらぬ 上海支局長・河崎真澄

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http://www.sankei.com/smp/world/news/180626/wor1806260012-s1.html

「これぞ東アジアに残された『冷戦構造』終結への第一歩だ」。国際問題に詳しい中国人研究者は、少し興奮ぎみにこう話した。

シンガポールで6月12日に行われた米朝首脳会談の後、トランプ大統領が会見で「朝鮮戦争がまもなく終結するとの期待を持っている」と発言したからだ。

 休戦協定が1953年に署名されて65年。朝鮮戦争はなおも終結のための平和協定が結ばれていない。

 だが、大統領の期待どおりに「終戦宣言」にこぎつければ、遠からず平和協定も締結し「朝鮮半島は一つの国になる」と、その研究者は論理を飛躍させた。

 そこには、「台湾は中国の一部だ」とする中国共産党の主張が背景にある。

 朝鮮半島も中台関係も冷戦構造の残滓(ざんし)であり、「統一」こそが冷戦終結の解決策と信じて疑わない。「次は中国による台湾統一の番だ」とまで言い切った。

 この研究者に限らず米朝首脳会談を契機に、「台湾統一」をめぐる議論が改めて中国で強まってきた。

 一方、その数日後に会った台湾人の国際政治学者は少し違った冷静な見方をした。「朝鮮半島が統一しようが、万一、台湾が中国に併合されようが、独裁政権共産党が残る限り、対立は消えず、冷戦はいつまでも終わらない」という。

 かつて冷戦の象徴でもあった東西に分断されたドイツが、89年のベルリンの壁崩壊を経て統一。91年のソ連邦消滅で冷戦は終わったが、「東欧と西欧に分断された冷戦は共産党の滅亡が終結の決定打」だった。

 この台湾人の学者は「そもそも欧州と東アジアの冷戦は、スタート時期からして異なる」と説明した。

 第二次世界大戦終結から始まった米ソ対立と東西冷戦。だが、東アジアでは朝鮮戦争、中台軍事衝突やベトナム戦争もあった。

 「70年代まで東アジアは冷戦ではなく“熱戦”時代だった。ベトナム戦争が終わった75年が、東アジアの冷戦時代のスタート」だという。ベトナムでは共産党が政権を握り、社会構造は複雑なまま。民主社会を築いた韓国や台湾が、独裁や共産主義と共栄共存することは不可能とみている。

 45年に始まり91年に終わった欧州の冷戦は46年。東アジアにそのまま年数をあてはめれば、75年から46年後は2021年となる。

中国人の研究者が「台湾統一」を口にする別の理由は、習近平国家主席共産党総書記)が掲げる「2つの100年」「中華民族の偉大な復興」にもある。

 共産党創設から100年は21年に、新中国の成立100年は49年に迎える。

偉大な復興では「台湾統一」へ武力行使もチラつかせる。「台湾統一」で21年までに道筋をつけ、49年までに手中に収めたい、と考える中国人が大多数だ。

 2期目の任期で習氏の総書記は22年、国家主席は23年まで。習指導部は憲法改正して可能にした習氏の3期目以降の続投で、人民からの熱烈な支持を得るために、「台湾統一」で21年に何らかの成果が欲しい。

 中国人の多くが、“分断国家”の統一こそが冷戦終結で、その時期が近づいたとの感触を米朝首脳会談から受けたとすれば、曲解とはいえ危険なサインだ。

 欧州とは似て非なる東アジアの冷戦構造、しかし独裁政権共産党が温存される“冷戦終結”など、見たくない。(上海支局長)









【感想】

中国の学者が「朝鮮戦争終結が朝鮮統一への第一歩となり、その次は中国による台湾統一だ」と考え、台湾の学者は「たとえ統一されても、共産党が残る限り冷戦は終わらない」と見ていた。興味深い意見である。歴史を通して中国は朝鮮を属国とみなしており、朝貢外交している限りお互い特に不満はなく併合など考えもしない。それに対し台湾は、中国にとって国内問題であり、皇帝に楯突く反乱なので鎮圧しなければならない。かつてお父様は、韓国と日本を父母の国として立てて、世界を導こうとされました。しかし、両国は罪を犯しました。韓国には左翼政権が立ち、今では見る影もありません。日本は、かろうじて安倍首相と江利川会長が踏ん張って、持ちこたえているが、何かあれば、一気に土俵際まで追い詰められそうな状況である。




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