ミャンマーを取り巻く各国の思惑と日本の動機

【国際情勢分析】ミャンマーで高まる日本への期待 欧米「人権圧力」と中国「債務のわな」の間で…

https://www.sankei.com/smp/premium/news/181025/prm1810250007-s1.html

10月上旬にアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相が訪日したミャンマーをめぐり、日本、欧米、中国の外交活動が活発化している。ロヒンギャ問題で批判を続ける欧米と、この問題で欧米と一線を画し支援を継続させる日本、そして日本や欧米の動きをよそにミャンマーへの経済進出を急ぐ中国。それぞれの外交姿勢がミャンマーの将来にどう作用するか、その行く末に注目が集まる。
(外信部 岡田美月)

○欧米は制裁決定、日本はODA供与
スー・チー氏は9日、東京・元赤坂の迎賓館で安倍晋三首相と会談。ミャンマーから隣国バングラデシュに逃れたイスラム教徒少数民族ロヒンギャの早期帰還などについて意見交換した。
 安倍首相は同日の共同記者会見でロヒンギャ問題を含めた諸課題に関し「ミャンマー政府の問題解決に向けた取り組みを支えていく」と表明。スー・チー氏は「感謝するとともに歓迎する」と強調した。
 ロヒンギャ問題をめぐっては、欧米諸国がミャンマー政府や同国軍に対する批判を強めている。
米国や欧州連合(EU)は、ロヒンギャへの迫害に関与したとして、すでにミャンマー軍幹部らに対する制裁措置の発動を決定。制裁は今後さらに拡大する可能性もある。

○日本を重視
 ロイター通信によると、EUはミャンマーに対し貿易制裁を検討している。武器を除く全品目について、EUへの輸出を無関税とする協定が無効となる可能性があるという。
 欧米からの厳しい対応を受ける中、ミャンマーの指導者が日本の姿勢に謝意を示したのも、日本がロヒンギャ問題で欧米とは距離を置き、ミャンマー民主化推進に向けて手を差し伸べているからだ。
 日本は昨年11月、ミャンマーの最大都市ヤンゴンと第2の都市マンダレーを結ぶ鉄道整備を含む総額1170億4000万円の政府開発援助(ODA)を発表。このほか、2015年12月に開業したヤンゴン証券取引所は、ミャンマー経済銀行と日本取引所グループ大和総研の3社による合弁会社として運営され、ミャンマーの経済、資本市場の発展を支えている。
 今月9日には、日本で、タイ、ミャンマーベトナムラオスカンボジアの5カ国首脳が出席する「日本・メコン地域諸国首脳会議」が開かれ、人材育成やインフラ開発などでの連携強化を盛り込んだ「東京戦略2018」が採択された。ミャンマーは他のメコン地域諸国とともに日本重視の立場をさらに鮮明にした格好だ。
 スー・チー氏率いる与党、国民民主連盟(NLD)のジン・マー・アウン下院議員は、ミャンマーのネットメディア「イラワジ」との対談記事(13日配信)で、スー・チー氏が最近語った話として「日本は欧米との関係が良く、(ミャンマーの)外交危機に際して仲介役となってくれる」と期待を示した。
 一方で日本の対応には批判の声も上がる。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの東アジア担当、リサ・タッシ氏は9月、米外交専門誌「ディプロマット」(電子版)への寄稿で、「日本はロヒンギャやその他の少数民族に対するミャンマー軍の愚かな行いをはっきりと糾弾すべきだ」と主張した。

○中国は進出加速
 欧米諸国は人権問題を盾に経済制裁を発動するなどミャンマー非難を強め、同国への投資も手控えて関与を弱めている。
 ジン・マー・アウン議員は先の対談で、ロヒンギャ問題をめぐる欧米の対応にも言及し、人権問題の観点だけでミャンマーをみるべきではないとする考えを強調した。
 同議員は、欧米が人権問題でミャンマーを過度に批判することで「別の問題が見過ごされる」と指摘。中国による投資が活発になる中で西側からの投資が引いてしまうと、「市場は釣り合いが取れなくなる」と語った。
 ミャンマーが孤立を深める間、中国は巨大経済圏構想「一帯一路」の一環として、ミャンマーへの経済支援に力を注いでいる。
 9月には両国間をつなぐ高速道路の整備などを盛り込んだ「中国・ミャンマー経済回廊」に関する覚書を締結。同構想は中国側が提案したものだ。
 ところが、中国による投資活動についてはミャンマー国内で懸念が根強い。
 ジン・マー・アウン氏は、ミャンマーの旧軍事政権が中国と共同で計画したミッソンダム建設の中断や、中部レパダウン鉱山で中国企業が手掛ける銅鉱山開発などを例に挙げ、「中国の投資は地元からほとんど支持されていない」と指摘。中国企業が「環境や社会的影響に注意を払っていない」と批判している。

 そのうえで、「地元から受け入れられる投資であるかどうか、企業活動を考えると、日本企業の方が好ましい」と断言した。
 人権問題で非難を強め支援の手を弱める欧米型の制裁外交。一帯一路の名の下にアジアやアフリカを支援漬けにし、債務を膨れあがらせる中国。支援を通じた課題解消を目指す“寄り添い外交”の日本。それぞれの外交スタイルはミャンマーの人たちにどう響くのか。国際社会がその成果を注視している。






【感想】

ミャンマー旧宗主国イギリスは第二次世界大戦中に民族どうしが結束しないよう、ある民族に別の民族を管理・支配させて分割統治した。こうしておけば、何か管理体制に不都合があっても、場合によっては宗主国が悪事を働いても、民族間の対立が激化するだけで、イギリスは責任逃れして隠れることができた。ロヒンギャ問題の根っこは、この分割統治にあり、スクープを扱ったロイターはグローバリストの手先メディアであることも疑惑を深めた。本来ならば、イギリスが責任を持って、こうした問題の解決に向けて尽力すべきだと思うのだが、逆に何かやましいことを隠そうとしてるかのように、先頭になってミャンマー政権を責め立てている。中国は自己中心的な動機で一帯一路を推し進め、ミャンマーの環境汚染を考慮せず、債務漬けにする高利貸し商法に邁進しているが、ミャンマー側も気づいて、港湾建設計画で過度な対中依存回避を図るようになった。日本は、この様な国々とは一線を画し、安倍首相を中心に、思いやりの心で支援を考えている。最近では、アウン・サン・スー・チー氏を始めミャンマーの方々にも、関係各国の思惑が透けて見えるようになり、日本の動機が伝わるようになってきたと思う。




by ロード



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