リブラvsドル覇権、金融大変革への胎動

アメリカを読む】FB「リブラ」vsドル覇権 米、制裁逃れへの流用懸念

https://www.sankei.com/smp/world/news/190722/wor1907220002-s1.html

フェイスブックが計画する暗号資産(仮想通貨)「リブラ」に、米政府や議会から集中砲火が浴びせられている。テロ資金支援などに悪用される恐れがあるほか、個人情報流出問題で同社に根強い不信感があることも響いている。一方、巨大な利用者数を抱える同社が公表したリブラが、金融取引に急速に浸透する可能性も指摘される。外交圧力として金融制裁を積極活用している米政府は、仮想通貨が制裁逃れの手段として反米勢力に使われ、ドル覇権の足場を揺るがすことに神経を尖らせている。
(ワシントン 塩原永久)

■「金融ルールに従う」と強調

 「私たちが政府発行通貨に挑戦することはない」

 7月17日、米下院金融委員会の公聴会で、フェイスブック幹部でリブラ計画の責任者、デビッド・マーカス氏はそう力を込め、懸念の払拭に努めた。

 同社の交流サイトの利用者は20億人以上。傘下の通信アプリ「ワッツアップ」は約15億人が使用する。通信アプリでメッセージを送るように手軽にリブラの送金が可能になれば、膨大な利用者に浸透して取引規模が急拡大する未来図も想定される。

中央銀行による金融政策の管理が失われるかもしれない」(国際通貨基金IMF)との見方も浮上する中、マーカス氏は「主要7カ国(G7)とも協調して取り組む」と繰り返し、各国の金融ルールに従う姿勢を示した。

 7月16、17両日に上下両院の公聴会で開かれたリブラに関する公聴会では、「フェイスブックを信頼してくれと彼らは求める。息をのむ傲慢さだ」(ブラウン上院議員)などと、議員から厳しい声が相次いだ。

 昨春発覚した英データ分析会社への最大8700万人分の個人データ流出で、フェイスブックの信頼は失墜。同社は不信が拭えないまま、今年6月中旬にリブラ構想の公表に踏み切った。2020年前半のサービス開始を目指す野心的な目標も掲げた。

構想の中核となるリブラの運営主体「リブラ協会」も疑念をかき立てた。最終的に100社前後の企業が参画することを想定する協会はスイスに本拠を置く。米金融当局は過去、犯罪資金やテロ集団などにからむ不審なカネの追跡で、スイスの金融機関と攻防を繰り広げてきた経緯がある。米国の直接的な管轄権が及ばないスイスにフェイスブックがリブラ協会を立ち上げたことについて、公聴会で議員から質問されたマーカス氏は、「責任や監督を逃れようとする意図はない」と防戦に回った。

■国家の管轄権は

 フェイスブックは、仮想通貨の一種と位置づけることができる「ステーブルコイン」として、リブラを設計している。リブラ発行額と同規模の預金や公債で通貨としての価値を裏付け、価格の安定性を保つ狙いがある。仮想通貨はボラティリティ(価格の上下動)が大きいと問題視されてきたためだ。リブラを裏付ける金融資産となる「リザーブ」は、非営利のリブラ協会のもとで管理されるため、将来的にリザーブの管理方法などは他国の金融当局の関心事になる。

国家の管轄権が、「新たなグローバル通貨」を掲げるリブラをはじめ、仮想通貨にどこまで及ぶのか。主権国家に管理されないデジタル通貨が生み出した問題が、マネーロンダリング資金洗浄)やサイバー犯罪への流用だ。

 ドル覇権を握る米国の懸念を浮き彫りにした象徴的な場面が、16日の上院銀行委員会であった。米金融制裁の法制化に関わってきた一人であるメネンデス上院議員とマーカス氏のやりとりだ。

 メネンデス氏「リブラ協会は制裁対象者の金融資産を凍結できるか」

マーカス氏「強調したいのは、もし私たちが先行しなければ、ほか(の国)がやる。その結果、(不法)取引が管轄権の及ばない金融ネットワークで行われることになります」

 マーカス氏は、リブラは米財務省の傘下にある「金融犯罪執行機関連絡室(FinCEN)」の取り決めに従うことになるため、制裁の“抜け穴封じ”に役立つとのアピールをにじませた。

 米国は外交ツールとして金融制裁を活発に発動しており、対象国のイランや北朝鮮ベネズエラなどに圧力をかけている。第三国にも制裁を履行させる「二次的制裁」を駆使し、ドル覇権の威力を最大限に活用。トランプ政権はオバマ前政権からのそうした流れを一段と強めている。

一方、仮想通貨が浸透すれば、米国の金融覇権を浸食する恐れも出てくる。米政府は昨年11月、米公的機関へのサイバー攻撃で3000万ドル以上の損害を与えたとして、2人のイラン人が起訴されたと発表。奪った仮想通貨ビットコインをイラン通貨のリアルに両替した別のイラン人2人を制裁対象とした。

 イランやベネズエラは米制裁回避の手段として、国主導で仮想通貨の運用に動いているとされる。

 ムニューシン米財務長官は今月15日の記者会見で、「ビットコインを使って逃れようとしても捕まえる。これは警告だ」と語り、仮想通貨を使った金融犯罪や制裁逃れに厳しく対処する方針を強調した。

トランプ米大統領ツイッターで、仮想通貨の存在意義を否定し、米ドルこそが「世界で格段に支配的な通貨だ」と言い放った。

 一方、17日の議会証言で米マサチューセッツ工科大学(MIT)のゲイリー・ゲンスラー教授は、「(仮想通貨を)十分にマネーロンダリング対策の枠内に置くことは困難だ」として、犯罪対策や課税といった仮想通貨が突きつける問題の深刻さを提起した。

 リブラについて専門家からは「まだまだブレーンストーミング(発案・議論)の段階」との声も聞かれる。技術開発と規制対応の両面で、リブラの発行は少なくとも主要国ではかなり時間がかかりそうだ。リブラが強固なドル覇権を揺るがす構図はまだみえないが、リブラが巻き起こした論議は米国政府に、仮想通貨への管轄権を及ぼす「積極路線」への転換を迫っている。









【感想】

天一国合衆国憲法では、中央銀行が禁じられ(3-9-13)、現行の金融政策や経済体制を根本から見直すことになる。今、話題のMMT(現代貨幣理論)は、金融政策に一般市民の関心を集めることに寄与したが、中央銀行を否定する理論ではない。ロンドンシティー及びウォール街を中心とするディープステイトは、通貨発行権を握るFRBを操り、各国の中央銀行を牛耳ることを力の源泉としている。FRBに立ち向かい、政府発行通貨を試みた大統領アンドリュー・ジャクソンリンカーン、ケネデイ、レーガンらは、暗殺もしくは暗殺未遂の憂き目に遭った。現在トランプ政権は、中国問題やイラン問題で当面は手一杯だが、それらに目処を立てた先には、FRB及びディープステイトとの決戦が控えている。突然、脚光を浴び出した「リブラ」は、マネーロンダリング資金洗浄)やサイバー犯罪への悪用を懸念され、「中央銀行による金融政策の管理が失われるかもしれない」ドル覇権への挑戦者と見られ、フェースブックの構想通りに流通させることは困難な情勢であるが、現行の金融体制を変革させる胎動を感じた。天一国合衆国憲法では、証券や通貨は存在し(3-8-6)、各種の税も存在する(3-8-1等)、将来到来する金融大変革に向けて、天一国合衆国憲法の理念をバックボーンとして備えて行きたい。





by ロード




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