トランプ大統領は弾劾の状況にない

ロシアゲートは実体なき疑惑だ 福井県立大学教授・島田洋一

http://www.sankei.com/smp/column/news/180919/clm1809190006-s1.html

モリカケ問題とアメリカのロシアゲートは「争点隠し」という点でよく似ている。加計学園による獣医学部新設は岩盤規制の打破が真の争点だが、安倍晋三首相の「えこひいき疑惑」に話がそらされ政争化された。

民主党が隠す「不都合な真実」≫

 ロシアゲートはどうか。米国内でほぼ事実と認定されているのは次の2点である。(1)2016年米大統領選に際し、ロシア情報機関によって民主党陣営のメールがハッキングされ、ネット上で公開された(2)投票機器の操作などはなかった-。(1)にトランプ陣営が関与したのでは、というのが反政権側の追及する「疑惑」だが、今に至るも確たる証拠は出ていない。

 ところで、なぜメールの流出がヒラリー陣営に打撃となったのか。ここにリベラル派が目を背ける「不都合な真実」があり、真の争点がある。最も問題となった2つのメールを見てみよう。

 1つは、民主党エリートを代表するポデスタ選対本部長(クリントン政権で大統領首席補佐官)がヒラリー氏に宛てた、副大統領候補選定に関するメールである。

 ポデスタ氏はまず、候補者を「食品群」(food groups)に分けたと軽口を叩(たた)き、女性、黒人、白人、ヒスパニック、巨額献金者などに分類、最後に「特殊食品」として予備選のライバルだったサンダース議員を挙げた。

 ここに見られるのは、アイデンティティー・ポリティクス(差別強調政治。警察対黒人、富裕層対貧困層、男対女、保守派対LGBT=性的少数者=などの対立図式を強調し、被差別弱者の側に立つと主張する政治)を推進してきた中心人物における、冷笑的で功利主義的な態度である。素朴な有権者の間に嫌悪感が広まったのも無理はない。

 もう1つは、民主党全国委員会(予備選の公正な実施が職務)の幹部間で交わされた「サンダース(ユダヤ教徒)は無神論者」との噂を広めて、宗教色の強い南部での支持率を落とすべきだ、などとした謀議メールである。

 政治と宗教の峻別(しゅんべつ)、無神論者への配慮(公立学校で「神」に言及しないなど)を高らかに掲げてきた民主党エリートにおける、これまた冷笑的かつ露骨な背信行為であった。サンダース氏支持者は当然激怒し、ヒラリー氏に近い全国委員長は辞任に追い込まれた。

 ≪モリカケ問題と構図は同じ≫

 要するに、ロシアの干渉と言っても、買収工作や怪文書拡散があったわけではなく、民主党幹部の“素の姿”を明らかにしたにすぎない。

 メールが流出しても中身が卑猥(ひわい)な冗談程度なら一時のゴシップで終わる。ヒラリー陣営の真の敗因は、差別強調政治の裏にある偽善性と陰謀体質が白日の下に晒(さら)されたことにあった。そして、そこを誰よりも峻烈に突いたのがトランプ氏であった。

 米主流メディアのロシアゲート報道は、この民主党エリートにとっての不都合な真実から目をそらし、トランプ陣営関係者の脱税や性的スキャンダル、失言のみを追う形で進められている。本質的に党派的かつフェイクといわれても仕方ないだろう。

 では実体なき「疑惑」の追及がなぜ終息しないのか。ここでもモリカケに似た構造がある。国会における野党の追及が誤答弁や官僚の資料操作につながり「疑惑をさらに深めた」のと同様、アメリカでは特別検察官がしばしば無から有を作り出す働きをする。

 犯罪事実がなくとも事情聴取に不正確に答えれば偽証、提出を求められたメールを一部でも削除すれば捜査妨害でいずれも訴追対象となる。メディアは「疑惑が深まった」と報道する。終わりの見えない特別検察官の動きに、トランプ大統領のみならず政権支持派が怒りを募らせるのも無理はない。

 ≪トランプ氏弾劾の状況にはない≫

 ニューヨーク・タイムズやCNNを見てトランプ氏の弾劾は近いと考えるのは、朝日新聞を見て安倍政権が倒れるのは近いと考えるのと同じである。

 草の根保守に強い影響力を持つトークラジオの3大人気ホスト、リンボー氏、ハニティ氏、レビン氏はいずれも、トランプ氏は左派の捏造(ねつぞう)攻撃に堂々と反撃し、規制緩和、保守的判事指名、「中共」(ChiComs)圧迫など公約を次々に実行していると、支持の姿勢を強めている。

 大統領弾劾は、検察役の下院が過半数で訴追し、陪審役の上院が3分の2以上で可決して成立する。ハードルは非常に高い。過去に唯一弾劾が見えたニクソン大統領(実際は手続き途中で辞任)の場合、支持基盤である保守層が、価格統制、デタントなど内外政策でのニクソンの「裏切り」に不満を募らせていたことが大きかった。今はそうした状況にない。

 「ヒラリーには大統領に必要な巨大なスタミナはない」。2年前の大統領候補討論会でトランプ氏が発した言葉である。特に中国との長期にわたる戦略的攻防を考えれば、政治家の評価でますます重要になるポイントだろう。(しまだ よういち)







【感想】

上記の島田洋一氏や昨日の虎ノ門ニュースでの藤井厳喜氏の解説には説得力がある。そのため、一昨日に当ブログで記事にした青山議員の友人による予想「トランプ大統領は弾劾の可能性あり」は実現困難と判断する。別件逮捕された元選対本部長のマナフォート氏は気の毒で、モラー特別検察官に脅されて司法取引に応じただけである。「朝日新聞を見て安倍政権が倒れるのは近いと考えるのと同じ」と言う表現は、極めて的を得ている。モリカケロシアゲートが酷似しているのは、背後で同じ黒幕がシナリオを書いているからである。今では、悪の黒幕がジョージソロスやロスチャイルドらグローバリスト・国際金融資本家であると見抜かれている。悪の正体が白日の下に暴かれると、次はいよいよ本物の善が脚光を浴びる時が近づいてきていると感じる。





by ロード




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