中国外交官の心理、「命あっての国益だ」

中国の外交官はなぜルールを守らないのか

https://special.sankei.com/f/international/article/20181121/0001.html?_ga=2.32606586.578160406.1541871441-265623317.1434456729

 21カ国・地域が参加してパプアニューギニアで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が18日に閉幕した。貿易摩擦で対立が深刻化している米国と中国が激しく非難し合い、恒例の首脳宣言は最後まで調整つかず、採択が断念された。

 閉幕する直前、中国代表団のメンバー4人が、首脳宣言に自国に有利な文言を盛り込むように議長国パプアの外相に直談判するため執務室に乗り込もうとしたことが話題になっていた。阻止されても引き下がらなかったため、執務室前に警察官が緊急配備される異例の事態となったと地元メディアが伝えている。

 パプアにとって中国はオーストラリアに次ぐ2番目の支援国で、道路建設などインフラ整備を中心に、中国からの投資に依存している。中国にしてみれば、いつも面倒を見ている小国が言うことを聞くのは当たり前というおごりがあったかもしれない。

 しかし、国際会議の議長国に対し個別に圧力を加えようとしたことは、完全なルール違反であることは言うまでもない。中国の外交官が、このように国際社会の常識やルールを無視して暴挙に出ることは枚挙にいとまがない。

 9月に太平洋の島国、ナウルで開かれた太平洋諸島フォーラムに出席した際も、順番を無視してわれ先に演説をしようとした中国代表団の団長が、議長から制止されると代表団のメンバーを引き連れて退場してしまった。その際、まっすぐ出口に向かわず、会場内を歩き回って不満をあらわにしたという。

 中国外交官の傍若無人な振る舞いがひんしゅくを買うことはしばしばある。英国のエリザベス女王は2016年5月にバッキンガム宮殿で催された園遊会の雑談で、前年の習近平国家主席の訪英に言及して、中国高官の態度について「失礼だった」と批判した。具体的な人や国について普段論評しない女王の発言は大きく報じられ、世界中の話題となった。

 筆者は北京駐在などを通じて、これまで多くの中国の外交官と付き合ってきた。友人として会うと物腰の柔らかい紳士でも、職場に戻ればいきなり横柄な態度に変わることが多い。当初は戸惑ったが、後に、彼らが最も重要視しているのは、目の前の相手ではなく、後ろから自分を見張っている共産党組織であることに気付いた。

 「中華民族の偉大なる復興」とのスローガンを掲げる習近平指導部は、南シナ海への中国の支配を認めない国際司法の判断を「紙くず」と決めつけるなど、国際社会のルールを順守する気はさらさらない。

 その上、外国に対し、強い態度で臨む外交官を「骨がある」と高く評価する傾向がある。逆に相手側の言い分に耳を傾ける外交官を「弱腰」と批判し、下手すればその外交官が失脚してしまう可能性もある。

 ここ数年、筆者が知る限り、日本に駐在経験のある外交官の中で「日本のスパイ」などと決め付けられ、拘束された人は少なくとも3人いる。いずれも日本に対し理解のある優秀な人物だった。

 外交官らの一連の“非礼事件”で国際社会における中国のイメージは著しく悪いが、当事者にとって、非常識な行動は保身のためにほかならない。彼らの心理について、ある中国の元外交官が「命あっての国益だ」と総括した。(外信部次長)






【感想】

一昨年、エリザベス女王が「中国は失礼ね」と発言されたことがニュースとなった。異例の出来事である。先週のAPEC首脳会議では、中国代表団が、首脳宣言を巡って議長国パプアの外相執務室に乗り込もうとし警察が出動する異例事態となった。中国外交官にとり、外国に対する非礼は取るに足らぬことであり、中国共産党から、どう評価されるかが全てである。もし弱腰と見なされると、失脚・拘束・強制収容所・粛清という悲惨な運命すらあり得る。彼らの心理について、ある中国の元外交官が「命あっての国益だ」と総括した。どこかの組織のように「給料あっての信仰だ」とならぬように注意したい。




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