英議会、ジョンソン政権vs野党、攻防再開

英議会が3日再開 “おきて破り”ジョンソン政権vs野党がせめぎ合い

https://www.sankei.com/smp/world/news/190902/wor1909020016-s1.html

【ロンドン=板東和正】英国の欧州連合(EU)離脱期限が10月末に迫る中、夏季休会中の議会が3日に再開する。最大野党・労働党は、経済の混乱が懸念される「合意なき離脱」を阻止する法案の提出を表明。強硬離脱派のジョンソン首相は、同法案の審議を妨害するため、来週から約1カ月間、議会を再び休会する異例の措置をとる方針だ。“おきて破り”も辞さないジョンソン政権と野党のせめぎ合いが激しさを増している。

 「合意なき離脱という災害を防ぐため、できることは全て行う」。労働党のコービン党首は1日、ツイッターで強い決意を示した。

労働党で離脱問題を担当するスターマー議員も同日、英BBC放送の番組で、コービン氏らが今週中に合意なき離脱を阻止するための法案を提出すると断言した。合意の有無にかかわらず、離脱期限の延期をEUに申請するようジョンソン氏に義務付ける内容で調整している。合意なき離脱を一時的に回避するのが狙いとみられる。

 これに対してジョンソン氏は8月28日、野党法案の審議時間を短縮するために、9月9日の週から約1カ月後の10月13日まで議会を休会する方針を決定した。野党の動きを封じるための休会は、議会制民主主義をないがしろにするものだとして与野党から非難が殺到している。

実際に休会されれば、労働党などが提出する法案の可決には「時間の壁」が立ちはだかる。通常、法案の審議・可決には1週間以上かかる。議会は早ければ9日に休会すると見込まれるため、3日に法案を提出しても、月内の可決は難しい。10月14日からの再開後も、17~18日にEU首脳会議を控えていることや、他の法案の審議時間なども考えると、離脱期限の10月末まで時間はほとんど残されていない。

 ただ、ジョンソン氏のもくろみ通りに事態が進むかは不透明だ。議会日程の調整権限を持つバーコウ下院議長は、労働党の法案審議を優先するとみられ、法案が通常より短い日数で採決される可能性があるからだ。バーコウ氏は「民主主義と国民の代表である議会への攻撃だ」と休会を批判し、ジョンソン氏の動きを阻止すると予告している。

 与党・保守党は議会でかろうじて過半数を確保しているにすぎず、一人でも造反者が出れば、可決される可能性が生まれる。

 ジョンソン氏は、メイ前首相がEUとまとめた離脱協定案のうち、英領北アイルランドの国境管理問題が解決するまで英国が関税同盟にとどまるとした「安全策」が削除できなければ、合意がなくても10月末に離脱する方針。それまでにEUとの交渉が進むかどうかは「きわどい状況」(ジョンソン氏)のままだ。









【感想】

お行儀の良かったメイ氏に対して、型破りなジョンソン氏は一見すると乱暴者に見える。合意なき離脱も辞さないと言うよりも、むしろ始めから合意なき離脱を目指しているように映る。議会制民主主義の建て前では、より多くの話し合いをすれば、より良い方向に進むはずだが、国民投票でEU離脱決定後の3年以上の不毛の議論が、建て前通りでないことを如実に示している。最大野党・労働党は、合意なき離脱を阻止する法案提出を表明した。対するジョンソン氏は、野党提出法案の審議妨害のため、議会を休会する方針である。下院議長の法案審議調整に注目が集まり、1人の造反者の出現が、法案成立の可否を左右する緊迫した状況となっている。世界中が終末の様相を呈する中、ブレグジットに関しても、10月末まで、きわどいつばぜり合いが展開されることになる。





by ロード




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