露トルコが停戦合意 シリア情勢 全面衝突回避も火種残る

露トルコが停戦合意 シリア情勢 全面衝突回避も火種残る

https://www.sankei.com/smp/world/news/200306/wor2003060017-s1.html

【モスクワ=小野田雄一】シリア反体制派の最終拠点である同国北西部イドリブ県でロシアを後ろ盾とするシリアのアサド政権軍と反体制派を支援するトルコ軍の衝突が激化する中、ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領は5日、モスクワで会談を行った。両首脳は6日未明(日本時間同日早朝)からの停戦に合意。イドリブを東西に横断するM4高速道路の南北それぞれ6キロを「緩衝地帯」とし、15日から両国が共同パトロールを行うことでも一致した。

これまでの衝突でアサド政権軍とトルコ軍の双方に死者が出ていたが、全面的な戦闘に発展する危機はひとまず回避された形だ。ただ、イドリブに駐留するトルコ軍や反体制派を排除して国土の完全掌握を目指してきたアサド政権と、難民流入防止の名目でシリア国内に勢力圏を構築する狙いとされているトルコの溝が埋まったかは不透明。今後も戦闘が起きる可能性は否定できない。

 約6時間に及んだ会談の後の共同記者会見で、プーチン氏は「会談は緊迫し、容易ではなかったが、建設的な結果で終わった。トルコ側に感謝したい」と評価した。エルドアン氏は「ロシアとの共同作業は問題の解決に寄与している」とする一方、「トルコはアサド政権の攻撃に反撃する権利を留保している」と述べて牽(けん)制(せい)した。

 会談後、ペスコフ露大統領報道官は、ロシアは会談の結果をアサド大統領に伝えると明らかにした。











【感想】

シリアでの武力衝突と難民は、コロナウイルスよりも差し迫ったリアル緊急事態である。元々はアサド政権に対する民主化を求めるデモであった。反政府勢力に武器が渡って紛争となり、そこに支配地域拡張を図るISISも加わり三つ巴の戦いとなった。ISISは解体され、トルコは自国に逃げ込んで来たISISの残党に武器を渡して戦わせた。アサド政権の背後にはロシアが付いており、反政府勢力にはトルコがいる。トルコはNATOには加盟国できたが、EUには入れず、長年中途半端な立場でシリア難民をプールしてきた。米軍のシリア撤退で、アメリカとトルコが険悪になると、トルコはロシアに接近しS400導入が持ち上がった。ここにクルド人問題やイスラエル問題が絡むと、更に状況は複雑になる。今回、シリアのイドリブ県でトルコ軍のF16がアサド政権の戦闘機を撃墜し、アレッポ空港も破壊した。アメリカはトルコとロシアの離反を狙ってパトリオットミサイルを提供した。アサド政権軍の空爆でトルコ軍に犠牲者が出ると、360万人のシリア難民を抱えるトルコは、難民を欧州へ越境させると発表し、ヨーロッパを脅して味方につけ、ロシアに圧力を掛けた。プーチンエルドアン会談はイドリブ停戦で合意したが、先行きは不透明である。大国の思惑と独裁者の都合で振り回されたシワ寄せは、民衆に押し付けられて悲惨な難民が発生する。人格と人柄で周囲を自然屈服させた元国連難民高等弁務官の故・緒方貞子氏のような人物の登場が待ち望まれる。





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