「いずも」は攻撃型空母でなくとも存在意義は大きい

【軍事ワールド】「攻撃型空母」は日本に誕生するか 海自護衛艦「いずも」改修

https://www.sankei.com/smp/west/news/181225/wst1812250004-s1.html

海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」と「かが」に米国製ステルス戦闘機F-35BライトニングIIを搭載できるよう、両艦を改修することが決まった。従来のヘリコプターだけでなく固定翼機(いわゆる飛行機)の離発艦を可能とするもので、事実上の空母化とも指摘される。政府は憲法上の制約で、攻撃型兵器を保有してこなかった経緯があり、岩屋毅防衛相も今回の改修について、憲法保有できないとされる「攻撃型空母」にはあたらず、専守防衛の範囲内と強調する。とはいえ、逆に「防衛型空母」という艦種が明確にあるわけでもない。では、改修後の「いずも」は、いったい“何者”になるのか。(岡田敏彦)

 始まりはF-35B

 「いずも」と同型艦「かが」の改修は、新たな防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」と、平成31~35年度の「中期防衛力整備計画」の骨子案に盛り込まれていたもので、今月18日に閣議決定された。今後5年間で少なくとも「いずも」型の1隻に対し、F-35Bの排気熱に対応する甲板の耐熱化や補強、航空機整備施設の設置などを行う方針だ。
 だが、日本は憲法の制約上、「攻撃型空母」の保有は認められないとしてきた。ここで示される「空母」とは、ヘリコプターではない固定翼機、いわゆる飛行機を離着艦させられる艦種だ。
航空自衛隊の主力戦闘機F-15や米海軍のF/A-18といった飛行機(戦闘機)類の離陸には通常、1000メートル以上の滑走路が必要となる。そこで米国やフランスの原子力空母では、飛行機を強制的に引っ張って加速させる航空機射出装置(カタパルト)を装備している。艦内の原子炉が生み出す高圧蒸気で航空機を“打ち出す”のだ。
 一方、「いずも」型の甲板は全長248メートルでカタパルトもない。それでも“空母化”が俎上にのぼったのは、最新ステルス機F-35Bの登場が要因だ。

 米ロッキード・マーチン社製のF-35はA型が空軍向け、B型が海兵隊向け、C型が海軍(空母艦載機)向けとして開発されたが、このうちB型は短距離離陸と垂直着陸(STOVL)が可能な機体として開発された。米海兵隊が急造の短い滑走路での航空機運用を重視しているためだ。
 このB型ならカタパルトがなく、飛行甲板の短い艦でも運用できる。今回の防衛大綱では、F-35Bを42機取得することも盛り込まれており、「いずも」「かが」はF-35Bとセットでの運用を目標として“空母化”される。
 この改修の結果、「いずも」型には1隻に約10機のF-35Bを搭載できる見込みだ。ただ自民党では、専守防衛の方針の堅持を主張する公明党と協議した結果、恒常的なF-35B搭載を避けることで「攻撃型空母」ではないという解釈をしている。
 だが、今回「いずも」「かが」におこなわれる改修では、2隻とも「攻撃型」とするには決定的に不足している要素がある。

 「攻撃型」に欠かせないモノ

 「攻撃型」の最たる例は米国の原子力空母だ。湾岸戦争(1991年)や対イスラム国掃討作戦(2014年~)で武装勢力の拠点を空爆するなど、攻撃の主力となった。これらはF-35のB型はもちろん、C型の運用が可能なだけでなく、攻撃に必要不可欠な早期警戒機E-2Dや、電子戦機EA-18G、空中給油機(F-18に給油ポッド搭載)などを運用している。いずれもカタパルトがあるからこそ運用できる機体だ。

 ところが、「いずも」型の改修案には、カタパルト装備はないことは確実だ。米空母同様の機能を求めるなら、カタパルト装備のほか甲板の大型化(アングルドデッキ化)などが必要で改修程度では済まず、新たに別艦として建造するしかない。
 結局、「いずも型」を改造するレベルでは、空飛ぶレーダー基地といわれるE-2Dをはじめ電子戦機や空飛ぶガソリンスタンドと言われる空中給油機を運用できない。これは敵地を攻撃する「攻撃型空母」としては能力不足と言わざるを得ない。この3機種はいずれもF-35Bの“助太刀”に欠かせないものだからだ。

 F-35Bはステルス性を生かした戦闘・地上攻撃両用の機体だ。敵を探知するためレーダー波を発信しては、逆探知され位置を暴露する可能性がある。このため後方空域にE-2Dを飛ばし、レーダー情報をF-35Bへ伝えることも求められる。敵地へ侵入するには、各種の電波妨害を行う電子戦機も不可欠だ。
 またF-35はステルス性を生かす場合、増加燃料タンクを翼下に装備することを控える必要がある。さらにB型は短距離で離陸するため下方へ空気を噴出する大型ファンを備えるなど、燃料搭載量は一般の戦闘機に比べ少なく、航続距離はF-18Eのほぼ半分(約1670キロ)。陸上発進の空軍機F-15(約4800キロ)の約3分の1で、これを補うには空中給油機が必要となる。
 米軍の場合、空中給油でガス欠をしのいだ後も、ただ空母への着艦を待つわけではない。米海軍は空母展開先の周辺国家には必ずといっていいほど、陸上基地の臨時使用許可を取り付けている。
 空母が攻撃で被害を受け着艦できない場合に備え、近くに避難用の陸上基地を用意しておくことを重視しているのだ。

 似て非なるもの

 米軍では主に強襲揚陸艦ワスプ級でF-35Bを運用していく方針だ。全長は約260メートルで、いずも(248メートル)と大差なく、いずもは改修でワスプ級にほぼ等しい航空機運用能力を持つとみられる。一方でワスプなど強襲揚陸艦が持つ上陸用舟艇の搭載・発進機能は「いずも」型にはない。

 こうした性能面と日本の安全保障状況を考慮すれば、その役割は「臨時滑走路」ということになりそうだ。特に南西諸島方面の離島にある航空基地が攻撃された場合などに、代わりの滑走路としての役目は重要だ。同じくF-35Bを運用する米海兵隊にとっても、大海原のなかでの「止まり木」となる。日本にとっても存在意義は大きいといえそうだ。









【感想】

世界中の海軍の中で空母打撃群を保有する海軍はアメリカしかない。ロシアも中国も他の国々も、たとえ空母を保有していても、攻撃型と呼べる代物ではない。カタパルト、早期警戒機、空中給油機、原子力潜水艦など軍事機密の塊が空母打撃群には必須であり、維持費も半端ではない。しかし、この強大なアメリカ海軍も在日米軍基地がなければ、機能不全となる。そして、今や時代は変化し、垂直離陸可能なステルス機F-35Bが開発され、日本も空母「いずも」を持つことができるようになった。周辺諸国の脅威も昔とは比べものにならない。そろそろ、専守防衛の概念や、防衛費GDP比1%枠を、撤廃する時になった。9条守って国滅ぶ愚を犯してはならない。





by ロード




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