北方領土を巡る日露米中の思惑

日露外務次官級協議「相当程度、理解深まった」交渉は具体的歩み寄りが焦点

https://www.sankei.com/smp/politics/news/190116/plt1901160003-s1.html

【モスクワ=力武崇樹】日本、ロシア両政府は15日(日本時間同日)、北方領土問題を含む平和条約締結交渉をめぐり、外務次官級協議をモスクワで開き、北方四島の主権の所在など両国で対立する論点について協議した。河野太郎外相とラブロフ外相の14日の外相会談で北方領土をめぐる立場の隔たりが浮き彫りになったばかり。日本政府は原則的立場を維持しつつ慎重に交渉を進める方針だ。

 次官級協議には森健良外務審議官とモルグロフ外務次官が出席し、ほかに元島民への人道的措置や共同経済活動も協議した。モルグロフ氏から両国間の査証(ビザ)制度の撤廃について提起があったという。森氏は協議後、記者団に「外相会談で白熱した論点について議論し、相当程度理解は深まった」と述べた。

14日の外相会談では、安倍晋三首相とプーチン大統領の首脳会談を22日に行うことで一致した。ただ、ラブロフ氏は北方領土に関し「第二次大戦の結果、ロシア領になったことを日本が認めない限り、領土交渉の進展は期待できない」と従来の立場を強調。「北方領土」の呼称すら「受け入れがたい」と批判した。

 これに対し、河野氏は記者団に「領土問題を含め日本の主張を明確にロシア側に伝えた」と指摘した。ラブロフ氏の主張を認めれば領土返還を求める根拠が失われてしまうだけに、折り合える一致点は見いだしづらいのが現状だ。
そうした中、日本政府は経済協力を交渉進展の呼び水にしたい考え。ラブロフ氏が外相会談で「日露間には経済でも安全保障分野の協力でも、かなり大きな潜在力がある」などと語ったことも注視する。

 首相が8項目の対露経済協力プランを示したのも、先進7カ国(G7)による経済制裁の影響で停滞が続くロシアに対し平和条約締結のメリットを明確にする狙いといえる。だが、日本企業の多くは「米国と対立し、平和条約もないロシアへの投資に株主が納得しない」(大手商社)と慎重姿勢を崩しておらず、乗り越えるべき溝は大きい。

 「プーチン大統領とは戦後70年以上残されてきた課題に終止符を打つという強い意志を完全に共有している」。首相は15日の政府与党連絡会議で、22日の日露首脳会談での交渉進展に向けた意気込みを改めて示した。双方の一致点を探るため、実務者協議を今後、頻繁に重ねていく方針だ。







【感想】

北方領土の陰の主役国家は、かつてアメリカであり、現在では中国も絡んでいる。もともと北方領土とは、日本が簡単にソ連と仲直りしないよう、アメリカがコッソリ仕込んだトゲであった。戦争で奪われた領土を平和な時代に交渉で返還させることは至難である。なぜ、各国が北方領土を重視するかは、逆さ地図を見るとイメージが分かる。

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ロシアにとって北方領土は、太平洋に出るための通路である。ここに米軍基地でも建設されようものなら目も当てられない。中国にとっても海洋国家となるためには、北方領土と北海道を勢力下に置きたい野心がある。かつてアメリカは、北方領土問題を解決させないため、日本政府に対して四島一括返還しか許可しなかった。ラブロフ外相が揺さぶりを掛けても気にすることはない。交渉の初期段階で吹っかけて徐々に譲歩していくロシア外交の常套手段である。安倍首相・プーチン大統領で歯舞・色丹を返還させて、経済協力を通して、ロシアを日米陣営に近づけ、中国の脅威を封じ込めることが望ましい。





by ロード




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