米中貿易戦争はチキンレースではない

米、対中制裁関税発動3.7兆円 中国も即座に報復

http://www.sankei.com/smp/world/news/180706/wor1807060044-s1.html


【ワシントン=塩原永久、北京=西見由章】トランプ米政権は6日午前0時(日本時間同日午後1時)すぎ、中国による知的財産権侵害を理由として、818品目、約340億ドル(約3兆7400億円)相当の中国製品に25%の追加関税を課す制裁を発動した。これに対し、中国は即座に同規模の報復関税を実施。世界の国内総生産(GDP)の約4割を占める米中の貿易摩擦が本格化した。

米国は6月、中国から輸入する1102品目に25%の追加関税を課すことを決定。対象品目の年間輸入額は約500億ドル(約5兆5千億円)で輸入額全体の1割に相当する。中国がハイテク産業育成策「中国製造2025」で重視する分野の製品を狙い撃ちにした。6日に発動した追加関税の対象には、航空や情報通信分野の製品や部品のほか、ロボット、産業機械などを盛り込んだ。

 トランプ政権は今後、さらに284品目、約160億ドル相当の追加制裁を準備している。トランプ氏は5日、記者団に、約160億ドル分の準備を「2週間のうちにも」終えると表明。最終的な制裁対象の総額について「500億ドルに2000億ドルを足して、さらに3000億ドルだ」と述べ、計5500億ドルまで上積みする考えを示した。これまでは、中国側が報復に出た場合は、制裁対象を最大で総額4500億ドル相当に拡大する可能性を示唆していた。

 一方、中国も6日、農産物など545品目、約340億ドルの米国製品に対する25%の追加関税を発動。対象には重要輸出品の牛肉、大豆といった農産物や自動車などが含まれる。トランプ氏と与党・共和党の支持基盤となっている産業を標的にしたとみられる。

 中国商務省は同日、報道官声明を発表し、「米国は世界貿易機関WTO)のルールに違反し、経済史上最大規模の貿易戦争を発動した」と非難。「世界のサプライチェーンを著しく損ない、世界の市場を動揺させる行為だ」と指摘し、「中国は国家の核心的利益と人民の利益を守るため、反撃せざるを得ない」として報復措置を正当化した。







【感想】

一見、米中で斬り合うチキンレースのように見える貿易戦争だが、実状は、骨を斬られて致命傷を負いそうな中国に対して、皮を切られて軽傷を受けそうな米国くらいの差がある。アメリカは、北朝鮮問題に早くメドを付けて、中国とは貿易戦争だけで雌雄を決し、イランとの対決では軍事衝突も辞さない構えに見える。アメリカの対中戦略を振り返ると、ソ連包囲網の一環としてニクソン毛沢東の米中接近があり、鄧小平時代には改革開放による民主化アメリカは期待していたが、中国の共産党独裁体制は維持された。現在では習近平による覇権挑戦にアメリカは脅威を感じ、中国経済の抑え込みに入った。青山繁晴議員の分析によれば、ソ連解体の要因は、SDI構想と通貨ルーブルへの打撃であった。中国封じ込めも、同様の戦略で臨むとすれば、軍事的優位を維持しつつ、人民元を締め付けることになる。馬渕先生によれば、今までのアメリカは持てるパワーを発揮できないようにネオコンが邪魔してきた。もしトランプ大統領率いるアメリカがフルに能力を発揮できるとすれば、圧倒的な軍事力と経済力で、中国とイランの二正面作戦にも充分対応できると思う。





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