米中対立で首脳宣言を出せなかったAPEC

APEC「各国が言いっぱなし」 仲介役不在

https://special.sankei.com/f/economy/article/20181118/0002.html?_ga=2.33859173.578160406.1541871441-265623317.1434456729

ポートモレスビー=大柳聡庸】アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が首脳宣言を出せないまま閉幕したのは、米中の対立が先鋭化したのが原因だ。米中ともに求心力を高められない中、参加国の結束が難しい現実も浮き彫りになった。近く首脳会談を控える米中は腹の内をさぐりあうかけひきも展開したが、全メンバーによる経済圏創出を目指すAPECの理念が揺らいでいる。

 「各国が言いたいことを言いっぱなしだ」。首脳会議に出席した日本政府の関係者は閉幕前の18日午前、あきらめ顔で話した。

 パプアニューギニアなどの途上国から日米などの先進国まで、経済発展の段階が異なる21カ国と地域が集うAPECは、ただでさえ利害調整が難しい。今回は米中が激しく火花を散らし、「議長国のパプアニューギニアをはじめ、仲介役も見当たらない」(政府関係者)状況だった。

 巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げ、不公正な貿易を続ける中国に、米国は不信感を募らせ、結局、譲らなかった。話がこじれたのは中国を糾弾する急先鋒(きゅうせんぽう)の米国自身が保護主義的な政策を強め、各国の反感を買っていることだ。

 もっとも米中は今月末にアルゼンチンで開く20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせ首脳会談を予定しており、互いの出方を探る動きもあった。ペンス米副大統領は17日、APEC関連会合の演説で「中国とはより良い関係を持ちたい」と発言。習近平国家主席も同日の演説で「違いがあれば話し合いで解決すべきだ」と述べた。

 ただ、今回のAPECを欠席したトランプ米大統領の出方は読めず、米中がすんなりと歩み寄れるかは未知数。米中の対立が続けば、APECの結束にも遠心力が働きかねない。





【感想】

G7のように粒揃いではなく、国力もバラバラなAPECで、大国の米中が対立すれば、他の弱小国はうろたえるしかない。日本の基本スタンスは対米重視だが、小国の中には、一帯一路を装った経済援助に取り込まれた国もある。議長国のパプアニューギニアにはチャイナマネーが流れ込んでいるので、通常なら、やや中国寄りの首脳宣言となるところだが、アメリカが強硬姿勢を貫くため、右往左往の結果、首脳宣言なしの閉幕となった。ペンス副大統領は、中国を念頭に、「この地域に、帝国や権威主義体制、侵略の入り込む余地はない」と明言しており、中国にルールを守らせると言うアメリカの決意が揺ぎないことを印象付けた。問題は、中国が共産党独裁体制を維持しながら、正直でルールを守る国に変われるかどうかだが、不可能と思える。そのため共産党体制崩壊まで、米中対立構造は継続すると見ている。




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