米中軍事衝突を回避するためのINF全廃条約破棄

「冷戦の終わりの始まり」だった中距離核戦力(INF)全廃条約締結 相互査察で米ソの信頼醸成

https://www.sankei.com/smp/world/news/181021/wor1810210016-s1.html

トランプ米大統領が20日破棄を表明した中距離核戦力(INF)全廃条約は、地上配備型の射程500~5500キロの核ミサイルを廃棄し、恒久的に放棄するという米露の2国間条約。1987年、当時のレーガン米大統領ソ連ゴルバチョフ書記長が締結し、翌88年に発効。規定どおり3年後の91年に米ソ合わせて2692基の廃棄が完了した。
 全廃の対象となったのは米ソが保有していた地上配備型の中距離(射程1000~5500キロ)、短距離(同500~1000キロ)ミサイルのほか、発射台や支援施設。将来の生産、実験、保有も禁止した。

条約の順守を確保するため検証に関する規定が盛り込まれ、相互査察では申告データの内容や施設の閉鎖、ミサイルの廃棄状況などを確認した。
 相互査察の実施は米ソの信頼醸成に大きな役割を果たしたとされ、INF全廃条約の締結を「冷戦の終わりの始まり」とする見方もある。

 一方で、航空機搭載型や海上・海中発射型のミサイル、核弾頭は対象外。中国など第三国の中・短距離ミサイルの配備を制約するものでもない。91年12月のソ連崩壊により核戦力を継承したロシアが当事国となっている。(平田雄介)


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中国「グアム・キラー」実戦配備 最新鋭ミサイルDF26、空母への精密攻撃も

https://www.sankei.com/smp/world/news/181021/wor1810210029-s1.html

【北京=西見由章】中国は米国への核抑止力として米本土に直接届く大陸間弾道ミサイルICBM)の開発を進めているほか、アジアから米軍を排除する「接近阻止・領域拒否」戦略を支える新型中距離ミサイルを相次いで配備している。中国が台湾への軍事圧力を強め、南シナ海でも軍事拠点化を進める中で、米軍に対して中国近海での作戦行動には高いコストが伴うことを印象付け、介入を防ぐ狙いがある。

 中国国防省は今年4月、最新鋭中距離弾道ミサイル「東風(DF)26」を戦略ミサイル部隊「ロケット軍」に実戦配備したと発表した。射程3000~5000キロ。グアムの米軍基地への核攻撃が可能で、「グアム・キラー」と呼ばれる。中国国営メディアによると、大気圏への再突入後に自ら目標を探知し、空母など動くターゲットへの精密攻撃もできる。中国は、在日米軍基地や自衛隊基地、台湾など第1列島線上の標的を狙う射程約1000キロの新型弾道ミサイルDF16も実戦配備している。
ストックホルム国際平和研究所によると、所有する核弾頭は今年1月時点で前年より10発増え280発と推定されている。





【感想】

30年前に米ソで締結した中距離核戦力(INF)全廃条約は、現在の世界情勢の中で考慮すると、中国を利するだけである。米軍は、ICBM及び戦略爆撃機原子力潜水艦保有しているので、米本土防衛には、INFがなくとも支障はない。しかし、グアム・台湾・南シナ海の防衛では、コストパフォーマンスの観点からINFは有効である。また、世論を動かす情報戦からも、ここでの条約破棄には意味がある。中国軍は、A2/AD(接近阻止・領域拒否)戦略を支えるDF16など軍備増強を進めているので、グアム・キラーに対抗する抑止力の向上は必須である。ロシアはINFをNATOに配備しなければ強く反発はしない。米中は貿易戦争の真っ只中だが、平時からお互い軍事衝突の準備はしている。今回、トランプ大統領はINF全廃条約破棄を表明し、グアム基地にINFを配備できるようにした。情報戦や心理戦で揺さぶりを掛けたり、抑止力を強化するのは、戦争をするための準備ではなく、戦争をしないための努力と言える。




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