香港デモ、若者から社会各層に広がり 住民「土地を取り戻せ」
https://www.sankei.com/smp/world/news/190817/wor1908170027-s1.html
【香港=西見由章】香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正問題をめぐり、週末の17日は香港各地で抗議活動が行われた。デモ隊は学生ら若者が主力となってきたが、「香港人」意識の高まりを背景に社会各層でデモが広がりをみせている。
17日午前、香港中心部の公園で教師の労組が主催する集会が開かれ、主催者発表で2万2000人(警察発表8300人)が周辺をデモ行進した。教師らは、武装した警察との衝突で多くの学生らが負傷したと当局を批判。「次世代を守り良識の声を上げよう」と訴えた。参加者の多くは黒い服装で、デモを主導する学生らへの支持を教師たちが表明する場となった。
大雨の中でずぶぬれになっていた数学教師の女性(54)は「香港が厳しい時を迎えている今、雨などかまわない。私は前線には行けないが声を上げたい」と話した。
午後には古い町並みが残る紅●(ホンハム)地域で地域住民ら約1000人がデモ行進を行い、条例改正案の撤回とともに「われわれの土地を取り戻せ」と訴えた。周辺では中国本土客向けに薬品や化粧品、時計などを販売する店が多く、買い物客の大型バスが道路沿いを占拠。中国マネーが地域経済を潤す一方で住民向け商店の減少や物価高などを招き、住民の反発が広がっている。
民主派団体「民間人権陣線」は18日午後に香港島の公園で大規模集会の開催を計画し、数十万人の参加が見込まれている。警察当局はデモ行進を許可しなかったが、許可された会場だけでは参加者を収容できず、付近の通りをデモ参加者が埋める事態となりそうだ。
デモ隊の一部と警察が再び衝突する恐れもある。憲法に相当する香港基本法の18条は中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会が「香港で動乱が発生した」と判断した場合、中国本土の法律を施行するよう命令できると規定。全人代は22日から常務委員会を開催する予定で、香港のデモ隊を牽制(けんせい)する意図もありそうだ。
【感想】
香港デモが混迷の度を深めている。香港警察のゴム弾・催涙弾を用いた凶悪な鎮圧手法の映像が世界中を駆け回っている。中国は香港との境界付近に人民武装警察部隊を集結させ、装甲車を用いて制圧訓練で圧力をかけている。香港の憲法に相当する香港基本法の18条は中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会が「香港で動乱が発生した」と判断した場合、中国本土の法律を施行するよう命令できると規定している。中国の長老が集結する北戴河(ほくたいが)会議は15日までに終了し、全人代の常務委員会は22日から26日まで開催される。第2の天安門事件となる武力弾圧を指示する可能性は低いが、デモ隊が香港特別行政区政府を乗っ取る事態となれば、習近平も決断を迫られる。デモ隊はトンネル封鎖や空港に狙いを定めて、世界の世論にアピールするデモ活動を行ない、勢いは衰えず、収束する兆しは見えない。8月末から9月にかけて、山場を迎える香港デモから目が離せない。
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