サウジ・イラン・イラク、複雑な中東情勢

薄氷の安倍仲介外交 サウジ傾斜 イラン失望も

https://www.sankei.com/smp/politics/news/200113/plt2001130019-s1.html

安倍晋三首相のサウジアラビア訪問は、従来の資源確保や親善目的に加え、中東地域の緊張緩和に向けた役割を担う日本の姿勢を印象づけた。米イランが対立する中、中東の大国サウジの首脳に抑制的対応を促し、緊密な連携を取り付けた意義は大きい。一方で、米国に近いサウジなどに傾斜しているように映れば、米国と敵対するイランの不信感を招くリスクも抱える。首相の「仲介外交」はガラス細工の様相だ。

 ムハンマド皇太子「東京や(サウジの)リヤドで高いビルばかり見ているよりも、この大自然のなかで、人間は英気を養うことができる」

首相「生涯の記憶に残る」

 首相とムハンマド氏による12日夜(日本時間13日未明)の会談は、サウジ北西部ウラー近郊の、ビルほどの高さの切り立った岩肌が露出した広大な砂漠に囲まれたムハンマド氏の別荘の敷地内で行われた。首相もサウジ側が用意した民俗衣装に身を包み、サウジの文化に寄り添った。

 会談に同席した岡田直樹官房副長官によれば、両氏は「腹を割って話すことができた」という。サウジ側の首相に対する厚遇は、中東の大国であるサウジとイラン双方とパイプを持つ首相の強みを際立たせた。

 一方で、中東各国と友好関係を持つからこそ、日本は今後、難しいかじ取りを強いられる可能性もある。

 米国主導のホルムズ海峡の安全確保に向けた有志連合にサウジやアラブ首長国連邦(UAE)は参加するが、日本は一線を画し海上自衛隊を中東に独自派遣することを決めた。

 首相はイランのロウハニ大統領には理解を得たとの立場だが、専門家の間では「有志連合に参加する国を訪れて海自派遣について『支持』を得る行動が、イランには米国と連携していると映りかねない」との声も上がる。

 米国による制裁で経済が低迷するイランは、水面下で日本の経済支援を要請しているが、米国の制裁を骨抜きにするような対応は難しい。イランの失望を招けば、伝統的な友好関係は揺らぎかねない。

 首相は13日午前(日本時間同日午後)、同行記者団に「これまでの中東との友好関係の上、日本ならではの粘り強い外交努力を続けていきたい」と意気込んだ。複雑な利害が絡む中東情勢で安定に向けた成果を出せるか。外交手腕の真価が問われるのはこれからだ。(ウラー 沢田大典)









【感想】

イスラムスンニ派の大国サウジアラビアシーア派の大国イランと共に友好関係を持ち両国首脳と会談できる唯一の西側先進国が、日本であり安倍総理である。日本は日米同盟を基軸とし天皇をいだだく国体を持ち、キリスト教国家でもイスラム教国家でも共産党国家でもなく、攻撃的な軍事力を持たない特殊な立ち位置で独自外交を展開している。逆に言えば自ずと日本外交の限界はある。サウジに接近するとイランの不信感を招くと気兼ねしていては、平和外交・仲介外交・バランス外交など何もできない。振り返ると911の実行犯の多くはサウジアラビア人であり、2年前にはカショギ氏殺害事件で世界から冷遇された。昨年イランが挑発を繰り返し、今年になりスレイマニ殺害後に風向きは変わった。ところで、イランが挑発した理由は以下の通りである。イラクは元々スンニ派であったが、フセイン以後にイランのシーア派に実効支配された。その後イラクにおいてイランのシーア派に対する反感が高まった。スレイマニらは、米軍を挑発することで米軍に反撃させ、イラクの反感感情の矛先をイランのシーア派から米軍に変えようと企んだ。つまりイランはアメリカと戦争するつもりなど始めからなくて挑発を繰り返した。中東では、こうした複雑な要因と思惑が入り乱れる。さて、スレイマニ殺害直前にトランプ大統領は4ケ所の大使館襲撃計画の情報を受けたが、エスパー国防長官の得た情報とは微妙に異なっていた。トランプ大統領は果敢に決断し遂行し、戦争にもならず結果オーライとなった。この点でもトランプ大統領は強運の持ち主、換言すれば天運に守られていることが分かる。その後、ウクライナ航空機撃墜後のお粗末な対応から今度はイランの権威が失墜した。現状では、日本がイランと距離を置いていると見られても、やむを得ない。そして中国とは、もっと距離を置いてもらいたい。





by ロード




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