ポンペオ演説、ベースは議会へのリポート

「習氏は破綻した全体主義の信奉者」米国務長官の演説要旨

https://www.sankei.com/smp/world/news/200724/wor2007240019-s1.html

ポンペオ米国務長官は23日、西部カリフォルニア州でトランプ政権の対中政策に関して演説し、習近平国家主席を破綻した全体主義思想の真の信奉者だと批判した。演説の主な内容は以下の通り。

 来年は(大統領補佐官だった)キッシンジャー氏の極秘訪中から半世紀を迎え、ニクソン大統領による訪中の50周年となる2022年も近い。当時の世界は大きく異なっていた。われわれは中国への関与が未来を生み出すと考えていた。しかし今日、(新型コロナウイルスに関し)中国共産党のせいで、われわれはまだマスクをつけている。

中国に無分別に関与していくという古い枠組みは失敗した。そうした政策を続けてはいけないし、それに戻ってもいけない。米経済と米国的な生活様式を守る戦略が必要だ。自由世界は新たな専制国家に打ち勝たなくてはならない。

 米国や他の自由主義国による政策は、後退しつつあった中国の経済を復興させたが、中国政府はその国際社会の手にかみつくだけだった。中国は米国の極めて重要な知的財産や企業機密をだまし取った。

 私は数週間前、ハワイ・ホノルルを訪れて中国の楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)(よう・けっち)共産党政治局員と会ったが、彼らが行動を変えるとの申し出はなかった。習近平総書記(国家主席)は破綻した全体主義思想を心から信じている。

中国政府の行動はわれわれの国民や繁栄を脅かしている。中国を普通の国家として扱うことはできない。

 米国はスパイ活動や知的財産の窃盗の拠点だったテキサス州ヒューストンの中国総領事館の閉鎖を発表した。今こそ自由主義国が行動するときだ。各国が自国の主権や経済的繁栄などをどう守るかに思いを致す必要がある。われわれは過去の過ちを繰り返してはいけない。

 (中国への対処という)課題に1カ国で立ち向かうことはできない。国連や北大西洋条約機構NATO)、先進7カ国(G7)、20カ国・地域(G20)、われわれの経済や外交、軍事力を組み合わせれば十分に対処できる。民主主義国家による新たな同盟を構築するときだろう。自由世界が中国を変えなければ、共産中国が私たちを変えてしまう。中国共産党から自由を守ることは私たちの時代の使命である。



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【感想】

ポンペオ演説のベースになっている考え方は、トランプ政権が連邦議会に提出した報告書「中国に対する米国の戦略的アプローチ」である。演説内容を理解する以上に国家戦略リポートを理解することが重要である。このリポートでは、トランプ大統領が師と仰ぐレーガン時代も含めて対中外交の誤りを認めている点で画期的である。ニクソン訪中は、米ソ冷戦時代のソ連包囲網構築の一環であり、世界情勢は現在とは大きく異なっている。中国に寛容な政策を取れば、中国は豊かになって、自由民主主義陣営の枠組みに入ってくれるはずだという考え方は、完全に間違っていた。中国は自らアメリカの寛容政策を否定してきた。今後は寛容政策から競争アプローチに変わる。今後は摩擦が増える覚悟で中国に対応する。中国の体制変更はアメリカにとって望ましいことではあるが、現状のアメリカの国力では、それを強いることはできない。そのため、まず米国の基本的価値観とアメリカの権利を守る決意をする。次に経済力を付ける。そして軍事力を強化する。さらに外交力を高める。この順番で国力を向上させる。そして米中デカップリング(米中分離政策)は行わず、中国をコントロールする国際パートナーシップ構築を目指す。言い換えれば、獰猛な野獣である中国を野に放つことはせず、アメリカをリーダーとする国際社会で中国を飼い慣らすことを目標とする。こうした国家戦略の変更を基にして、ポンペオ演説に落とし込んできたと思う。




by ロード



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