(新版)日本国紀〈下巻〉を完読して

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(新版)日本国紀〈下巻〉を完読して

言うまでもなく、我々の歴史観は原理講論に記述された摂理史観を軸としている。巷では東京裁判史観(自虐史観)が幅を利かし、保守系言論人が自虐史観を覆そうと奮闘している。

(新版)日本国紀〈上・下〉では、幕末までを上巻、明治以降を下巻とし2千年以上の日本の通史の中間点の設定位置から、歪められた日本近現代史を正そうとする百田尚樹氏の意気込みを感じる。ただ私としては、将来的には〈上・中・下〉として3巻目に「統一運動を中心とする日本秘史」が追加されることを期待している。

昨今の中国との問題を考える上で、日清戦争から朝鮮戦争までの歴史知識は基礎情報である。恥ずかしながら私は、満州事変・支那事変、柳条湖事件・盧溝橋事件すら曖昧で混乱している部分がある。百田尚樹氏はこの時代の分水嶺を、日露戦争後のポーツマス講和会議後の1905年、桂ハリマン協定で満州の権益の一部をアメリカに譲る覚書を小村寿太郎ちゃぶ台返しで破棄した出来事と見ており、勉強になった。

また袁世凱に騙された「対華二十一ケ条要求」と韓国側の言葉を信じた「河野談話」発表のいきさつを既視感ある悪手と断じ、日本外交の未熟さを指摘していた。

それから横須賀造船所の建設を始め、「明治政府の近代化政策は小栗の模倣にすぎない」と絶賛された小栗忠順(ただまさ)、小笠原諸島の領有権で尽力した水野忠徳(ただのり)、1900年の義和団の乱で活躍して日英同盟の道を切り開いた柴五郎、土木行政の骨格を作り「自分が1日休むと、日本が1日遅れる」と語った古市公威ふるいちこうい)こうした誇るべき日本人の業績もクローズアップしていた。もっと知名度を高めるべき優れた人物たちである。

「あとがきにかえて」で筆者はユニークな「歴史のIF」を提示していた。それは「もし、地球上に日本列島がなかったならば」というもので、その場合には「ロシアのアジア南下を防ぐものはなく、同国は満洲朝鮮半島を自国領としていたでしょう」と主張していた。もし朝鮮半島がロシア領になっていれば、再臨摂理の出発は更に困難であったろうと感じる。




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