電磁パルス攻撃の底知れぬ威力を検証

核爆発で電磁パルス攻撃 試験設備が初の本格稼働、威力確認

https://special.sankei.com/f/life/article/20181216/0001.html

上空で核爆発を起こし、広範囲で電子機器に被害を与える「高高度電磁パルス(HEMP)攻撃」に備えた試験設備が12月、国内で初めて本格稼働した。昨年秋に北朝鮮が攻撃を示唆したことで対策の必要性が認知され、民間企業がスイスから導入。北朝鮮の非核化が進まない中、最悪の事態に備えて防衛省や重工業、電力会社など幅広い関係者が高い関心を寄せている。

強力な電波の一撃

 HEMP攻撃は高度30~400キロの上空で核爆発を起こすことで行う。このとき熱線や衝撃波は地上に届かないが、同時に生じたガンマ線は地球の大気を構成する窒素や酸素などの分子に衝突。分子に含まれる電子がはじき飛ばされ、大きな磁場が発生することで、強力な電波の一撃である電磁パルスが地上に襲いかかる。

 これにより、5万ボルトもの電圧がパソコンをはじめとした電子機器にかかり、ディスプレーや電源、IC(集積回路)などの損壊を招く恐れがある。人工知能(AI)をはじめ、電子機器に依存する現代社会にとっては無視できない問題だ。電力会社などの公共インフラが被害を受ければ都市機能もまひしかねない。

実験でパソコンの一部が焼損

 このたび稼働した試験設備は、スイスにある電磁パルス測定機器大手の「モンテナ」社製で、電磁波測定業の「EMCJ」(相模原市緑区)が数千万円で導入した。全長約15メートル、高さは最大3・6メートルだ。

 端にある20万ボルトの高圧電源から20本のアンテナが伸びており、瞬間的に電流を流すことで、アンテナの下の空間にHEMP攻撃を受けた場合と似た環境を再現できる。

 関係者向けのデモンストレーションでは、デスクトップ型パソコンに電磁パルスを照射したところ、電源が切れて画面が真っ暗になった。その後で再起動したが、USBの差し込み口は焼損して使えなくなった。

 試験できる物品のサイズは縦2メートル、横約1・5~2メートル、高さ1メートル弱。これはアンテナの下の空間に収まる大きさとなる。

 設備導入の経緯について、EMCJの村上薫代表取締役は「昨年秋の北朝鮮の件を受け、電子機器やデータ管理の会社などから問い合わせがあり、需要の高まりを感じた」と話す。

 一方、見学に訪れた防衛省の担当者からは「航空機などを丸ごと試験することはできないのか」といった声も上がったという。ただ、それには設備を大型化する必要がある。

 既に米国には大型爆撃機や艦船を、韓国にも自動車を丸ごと試験できる設備が存在するが、日本では電波法の制約で実現が難しい。電波を外部に漏らしてはならず、「電波暗室」という特殊な建物の中でしか使えないからだ。そのため、戦闘機や護衛艦などの試験は部品ごとに行う必要がある。

日本での対策はこれから

 同じような試験設備は米国や韓国だけでなく、欧州主要国や中国などにも存在する。しかし、日本では電磁パルス攻撃から身を守る意識が低く、10年ほど前に防衛省が一時的な試験設備を設けて実験を行った程度だ。その後はまともな試験設備がなく、特に一般社会での対策はほとんど取られてこなかった。

 電磁パルスに詳しい専門家によると、防衛装備品ですらHEMP対策を備えているのはイージス艦に搭載するシステムや地対空誘導弾パトリオット(PAC3)など、米国から導入した一部のものにとどまるという。

 例えば航空自衛隊の主力戦闘機「F-15」の場合、米国で使われている機体には対策が施されているにも関わらず、日本向けに製造された機体からは外されているとの話もある。

 今回の本格稼働について防衛省関係者は「これでHEMP攻撃を防ぐ性能が証明できる。試験環境が生まれた意義は大きい」と話す。(科学部 小野晋史)





【感想】

電磁パルス攻撃の恐ろしい点のひとつは、大気圏再突入技術や精密誘導技術などを完成させていない粗雑な技術力しか持たぬ国が相手国に大打撃を与えられるかもしれないと考え易いことである。もちろんHEMP攻撃も核攻撃には違いないので、米国及び同盟国にHEMP攻撃を行った国は、30分後には跡形もなく地上から消えてなくなる。電磁パルス攻撃が実戦で使用されたことはないため、即死者が抑えられたとしても、無防備な電子機器は壊滅することが予想され、どの様な地獄絵図が展開されるか想像もつかない。まず、防衛装備と公共インフラ中枢部だけでもシールドして、残存能力を高め、抑止力向上を図る必要がある。





by ロード




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